メールマガジン「月刊ハナヤマ通信」404号 2020/06
先日、友人の医師から「咳が止まらない。心臓に妙な鼓動が出るし、胸の中心に痛みもある」という電話があった。
実はこの方だけでなく、このところ同じ症状の人が増えているようだ。
こういった症状の多くは、胸椎が大きくズレているのが原因である。
胸椎のズレについては何度か当誌でも取り上げてきた。
胸椎がズレると、ズレたところで胸や背中に症状が出て、なかには痛みのせいで寝返りを打つのもつらいという人がいる。
また肩甲骨の下(内側)に痛みが出るのも一般的だ。
胸椎のズレは肋間神経に沿って症状が出るので、ちょうど肩甲骨の下(内側)の肋間神経の部分で痛みが出る。
これは肩甲骨そのものに問題があるわけではない。
しかも、肋間神経の痛みには、どの鎮痛剤を使ってもなかなか効果が出ない。
病院で検査を受けると、「レントゲンには写らないが、小さなひびが入っているのかもしれない」といわれることもある。
しかし本当に骨にひびが入っているだけなら、2、3か月もすれば治る。
ところが痛みの原因が胸椎のズレなら、ズレを戻さない限り何年でも痛みが続くのだ。
このような痛みだけでなく、背骨のズレは呼吸器、循環器、消化器といった内臓全般の働きにも多大な影響を及ぼしている。
例えば胸椎のズレで呼吸器に影響が出ると、咳が止まらなくなることがある。
胸椎がズレると、びんのふたをひねったときのように胸郭がひねられるので、肋間筋や横隔膜もひねられる。
さらに気管や肺そのものにもひねりの力が加わって、咳の症状が出やすくなるのだ。
この症状は胸椎のズレとともに続くので、人によっては自分は喘息持ちだと信じ込んでいる人もいる。
また胸椎がズレた状態でかぜを引けば、咳の衝撃でさらに胸椎が大きくズレてしまう。
その結果、かぜは治ったのに咳だけが続くことになる。
今の時期は、この症状が新型コロナウイルスの感染とも混同されるので、面倒なことにもなりやすい。
他にも胸椎のズレが心臓に影響を与えるケースをみてみよう。
胸椎がズレて胸郭にひねりの力が加わると、胸郭の中心にある心臓にまでその力が及ぶ。
するとひねられた心臓が「トクトク」「ドキドキ」して、狭心症のような症状が現れる。
しかも第一胸椎がズレると、その下の心臓神経まで刺激する。
心臓神経への刺激は狭心症の症状だけでなく、不整脈の原因にもなる。
そこに胸椎のズレによる背中や胸の痛みが加われば、心筋梗塞の症状と一致する。
すると初めのうちは胸椎のズレだけの問題だったのに、長期化すると本物の心疾患にまでなることもあるのだ。
さらに胸椎のズレは消化器の働きにも作用する。
胸椎がズレて胸郭がひねられると、食道や胃などの消化器も一緒にひねられる。
しかもこのズレは消化器の働きを支配している迷走神経の働きも阻害する。
そのせいで、吐き気や胃もたれ、消化不良、腹部膨満感、胃痛といった症状が起きる。
胃がシクシク痛むのでてっきり胃潰瘍だと思っていたら、単なるズレの症状だったということは少なくない。
病院で胃カメラを飲んで精密な検査をしても問題が見つからないようなら、その多くは背骨のズレが原因だ。
胸椎を矯正して、ズレが消えた途端に胃が音を立てて動き始めることからみても、ズレと症状との因果関係は明らかである。
それではなぜ、最近は胸椎のズレが増えているのか。
新型コロナウイルスのせいで、外出を控えて家にこもっているうちに、代謝が下がって背骨がズレやすくなっているのも一因だろう。
では背骨のなかでも特に胸椎がズレやすいのはなぜだろうか。
チェルノブイリ原発の爆発後、周辺地域では心疾患が増えたことが知られている。
この事実からみて、私は放射線が胸椎のズレを誘発している可能性を危惧しているのだ。
もちろん、今の段階では確定的なことはわからない。
このことについては今後も状況の変化に注目していきたいと思っている。
(花山 水清)