花山 水清
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頭痛薬で頭痛が治らないのは、痛み止めで虫歯が治らないのと同じ

メールマガジン「月刊ハナヤマ通信」398号 2019/12 改訂2020/12

 

 あるときのんびりとラジオを聞いていたら、健康コーナーに登場した医師が、「頭痛の原因の一つに薬の飲み過ぎがある。そこで私はこれを【薬の飲み過ぎ頭痛】と名付けた」と話し始めた。

 

そして「薬をやめられない人のためには、別の薬を処方してあげている」と続けたのである。

 

それを聞いて思わず、「それじゃ、薬が減ってないじゃないか!」とラジオに向かってぼやいてしまった。

 

・・・という話を私にしてくれた人がいた。

 

 

 冗談のようだが、よくある話だという気もする。

 

「薬をやめたら頭痛が治る」と医師がいえば、「ああ、なるほど」と納得する人も多いだろう。

 

しかし、そもそもその薬を飲む前にあった症状の原因はいったい何だったのか。

 

その薬の処方は適切だったのか。

 

大きな疑問が残るところである。

 

 

 実は医学の世界では、こういう相関関係と因果関係とを混同したような話がやたらに多い。

 

単なる相関関係に過ぎない話を、あたかも因果関係があるかのように説明してみせるのだ。

 

そこで今回は、相関関係と因果関係について少し考えてみようと思う。

 

 

 例えば「薬を飲んだら頭痛が治った」という場合、服薬と頭痛との関係は、因果関係ではなく、単なる相関関係なのである。

 

薬を飲んでも頭痛が治らない人は大勢いるし、頭痛が治ったとしても、それは薬の効果ではなく自然治癒だった可能性もあるからだ。

 

また先述の、「薬をやめたら(薬の飲み過ぎによる)頭痛が治る」という話も、相関関係に過ぎない。

 

これが「頭が痛いから薬を飲んだ」というのなら、治る・治らないに関わりなく、原因と結果との間に因果関係が成立する。

 

 

 しかしたいていの人は、病院では因果関係に基づいて治療してくれているものと信じ切っている。

 

実際には、今の医学では病気の原因がわかっていないことが多い。

 

原因がわからないのだから、根本原因にアプローチする原因療法もほとんどない。

 

そのため、治療の多くは症状だけに対処する対症療法、別名「姑息的療法」なのである。

 

そうやって対症療法で症状を抑えているうちに、原因が自然に治癒するのを待つわけだ。

 

ところが当の患者には、自分が受けた治療が原因療法なのか、対症療法なのかはわからない。

 

症状さえ消えれば原因などどうでもいいと思っている節もある。

 

 

 だが何もむずかしい話ではない。

 

虫歯が痛くて鎮痛剤を飲んだら痛みが消えたからといって、それで根本原因である虫歯まで治ったわけではないことなら、だれでもわかっているはずだ。

 

それなのに、これが頭痛のこととなると、症状が消えただけで原因まで治ったことにしてしまう。

 

原因が気になる私としては、これはとても違和感がある。

 

 

 頭痛といえば、1960年代のアメリカで中華飯店症候群(チャイニーズ・レストラン・シンドローム)が話題になっていたことがある。

 

中華料理を食べた人たちが、食後に頭痛を始めとするさまざまな症状を訴えたことから付けられた病名だ。

 

当時、その原因だと考えられたのは、中華料理にふんだんに使われていた化学調味料のグルタミン酸ナトリウム(MSG※)だった。

 

その後、頭痛などの症状とMSGとの関係については数多くの研究が行われた。

 

しかし、ついに明確な因果関係は見つからなかったのである。

 

その後もこの問題はくすぶり続けたが、やはり状況証拠としては疑わしいため、現在の欧米ではMSGフリー(化学調味料不使用)と銘打った商品に人気があるようだ。

 

一方、化学調味料の一大生産国である日本では、MSGの使用は大きな問題になることはない。

 

 

 だがここでいちばん問題なのは、頭痛そのものの根本原因が医学的には未だに解明されていないという点なのだ。

 

なぜ頭が痛くなるのか、その原因もしくみもわかっていないのだから、MSGとの因果関係も否定できるはずがない。

 

もちろん、ひとくちに頭痛といってもその原因は多岐にわたる。

 

しかしいわゆる一般的な頭痛の多くは頚椎のズレによって引き起こされている。

 

そのズレには、MSGなどの化学物質が関与しているのである。

 

しかもこれは単なる相関関係の話ではない。

 

 

 私が考える頭痛のしくみはこうだ。

 

まず、MSGや薬のようなある種の化学物質を摂取すると、その神経作用によって左骨格筋が特異的に緊張する。

 

するとその筋肉に引っ張られて、頚椎がわずかにズレることで周囲の神経や血管を圧迫する。

 

そのダメージが頭痛などの症状として現れるのだ。

 

その証拠に、頭が痛いという人の頚椎がズレているとき、そのズレた頚椎を定位置に戻してやると、その場で症状は消えてしまう。

 

逆に、頚椎がズレていなければ頭痛も起こらない。

 

このことからも、頭痛と頚椎のズレとの間には、因果関係が成り立つと考えられるのだ。

 

 

 これを単純化してみると

 

 「 MSG → 頚椎のズレ → 頭痛 」

 

というストーリーになる。

 

すなわち、これまで因果関係が証明できなかった中華飯店症候群も、「 MSG → 頭痛 」という説明がまちがっていたわけではなく、間に「頚椎のズレ」というステップを補ってやる必要があったのだ。

 

しかもこの説明は、医学以外にも当てはめることができる。

 

 

 前回の当誌でも書いた通り、生物学の世界では、化学物質や放射性物質などの影響で、さまざまな生物の体が左右非対称化することが立証されている。

 

また左右非対称化した個体と、特定の疾患との関わりについても研究されている。

 

環境問題では、これらの研究データが有害物質に対する批判の根拠とされているのである。

 

 

 ところが生物学では、なぜ体が左右非対称化するのか、非対称化した体がなぜ特定の疾患と関わりを持つのか、という最も大事な部分の説明が抜け落ちている。

 

そのため、せっかくの問題提起が相関関係の話で終わっている。

 

しかしこの抜け落ちた部分に「背骨のズレ」という現象を組み込むと、中華飯店症候群と同様、因果関係が成り立つのである。

 

 

 かつて、化学物質による環境への影響を告発した『沈黙の春』や『奪われし未来』の登場によって、DDTやPCB、ダイオキシン、DESなどが、有害物質だと認識されるようになった。

 

そのおかげで多くの化学物質の使用が世界中で規制された。

 

ところが現在は、この問題の周辺はかなりトーン・ダウンしているようだ。

 

その理由は、これらの化学物質と発がんや内分泌撹乱などの作用との間で、はっきりとした因果関係が証明できていないからである。

 

因果関係が実証できなければ、科学的に証明されていない話として一蹴される。

 

そしてさらにむずかしいのが、科学的証明の根拠となる毒性の問題なのだ。

 

 

 16世紀の錬金術師パラケルススは、「全ての物質は毒であり、毒でない物質は存在しない」という名言をのこした。

 

正に彼のいう通り、毒性とは特定の物質が有毒か無毒かという判断ではなく、その物質が人体にどの程度まで許容されるかの問題なのである。

 

 

 また、フグ毒のような急性の毒性なら、発症との因果関係は明白だから立証しやすい。

 

ところが慢性の毒性をもつ物質となると、人体への影響との因果関係を証明するのは非常に困難なのだ。

 

過去の公害や薬害の事例を見てもわかるように、被害者は数十年にもわたって国や企業を相手に裁判で争うことになる。

 

その毒性が明らかであったとしても、加害者が権力者であれば、「人体に直ちに影響はない」といい続けて時間を稼ぐことも常套手段となっている。

 

このように医学や環境問題では、相関関係と因果関係との混同を都合よく使い分けることで、問題の本質から目をそらそうとするのだ。

 

 

 しかし、「アシンメトリ現象」が広く一般に認知されれば、こういった状況も一変するだろう。

 

「アシンメトリ現象」は、化学物質を始め、放射性物質、重金属などあらゆる物質が原因となり得る。

 

それらの物質で引き起こされる背骨のズレが、人体に及ぼす影響の範囲も広い。

 

この最も重要な現象を認識することによって、有害物質と体の異常との因果関係が、即座に証明できるようになるのだ。

 

私はこの「アシンメトリ現象」という視点こそ、環境問題の解決の糸口になるのではないかと期待しているのである。

 (花山 水清)

 

※MSG:グルタミン酸ナトリウム。グルタミン酸ソーダ。うま味調味料。食品添加物の表示では「調味料(アミノ酸等)」と記載されている。

 

 『沈黙の春』レイチェル・カーソン 

 『奪われし未来』シーア・コルボーンほか 

 

(花山水清メールマガジン 「月刊ハナヤマ通信」) 

 

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