花山 水清
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【究極の健康法】自分の体の状態がわからないから不安になる

メールマガジン「月刊ハナヤマ通信」386号 2018/12


 私は人体の規則的な左右差である「アシンメトリ現象」を発見して以来、この現象と関係していそうな歴史上の人物を調べてきた。

 

鑑真や重源、ゲーテ、アリストテレス、ヒポクラテスなど分野もさまざまだが、そのなかでも、レオナルド・ダ・ヴィンチほど興味を引く人物はいなかった。

ダ・ヴィンチは単なる画家という範疇にはくくれない、極めてユニークな人物なのである。

そして彼の資料を調べれば調べるほど、彼が何を考え何をなそうとしていたかが、私のなかで鮮明に浮かび上がってくるようになった。

そこで当メールマガジンでは、これまで4回にわたって、ダ・ヴィンチの思考を借りる形で健康について考察してみた。

今回はそのまとめである。


 「ダ・ヴィンチ健康法」と題して「食」「排泄」「睡眠」の3項目に分けて書いてきた内容は、時代を超えてだれもが健康であるための目安となるだろう。

また健康を維持するには、自分の努力以外に医療との関わりも避けては通れない。

ところがダ・ヴィンチは、とんでもない医者嫌いだったことで知られているのである。

 
 フランスの美術評論家であるセルジュ・ブランリ(1949~)によれば、ダ・ヴィンチは

「君の健康を保つ務めは、

  医者を避ければ、

   なおいっそううまくいくであろう。

 

 なぜなら彼らの薬は

  治療よりも一種の錬金術なのだから」

という辛辣な記述を残している。

他にも、医者のことを「生命の破壊者」と呼んでいたという記録まである。


 確かに、ダ・ヴィンチの時代(15~16世紀)の医者がしていたことは、今の私たちから見れば、とうてい医療とは呼べないお粗末なものだった。

ようやく医療が効果を上げられるようになったのは、A.フレミングがペニシリンを発見した1928年以降のことだ。

 

それまでの医者には、病気を治す力などほとんどなかったのである。

治せないだけならまだしも、19世紀になってもまだ医者は何かあれば常に瀉血(しゃけつ)をしていた。

 

ヒポクラテスの四体液説が長らく医療の主流だったせいで、体から悪い血を抜けば病気が治ると信じられていたのだ。

 

だが血を抜いて治る病気などない。

アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンが、医者から繰り返し瀉血されて失血死したという話も有名だ。


 しかしダ・ヴィンチをこれほど医者嫌いにしたのは、何が原因だったのかについて、具体的な記述はない。

医者から受けた不適切な治療や、彼らの不愉快な態度だけが理由ではないだろう。

あの時代には、ダ・ヴィンチほど人体の構造に精通した人物はいなかった。

 

その彼から見れば、どの医者の知識も物足りなく思えて当然だ。

しかもダ・ヴィンチは時代を超えた天才だったのに、当時の彼には、その才能に見合うだけの評価や収入があったわけではない。

この状況から考えれば、不相応に高い評価と収入がある医者という存在が、彼にとっては腹に据えかねるほど、不快だったのかもしれない。


 私も先日、ある医師が書いた本を読んでいて、ページを繰る手が止まった。

そこには、「昔は乳がんの治療で腋窩リンパ節を全て廓清していたが、今はそんなことはしない」などと、シレッと書いてあったのだ。

この医師の感覚では、「昔」のことなのだろうが、われわれにしてみればつい最近のことである。

「昔」受けた廓清手術の後遺症で、今現在も苦しんでいる人がいるではないか。


 ダ・ヴィンチの時代の医療が、現代では「トンデモ医療」と呼ばれるように、現代の先端医療ですら、次の時代には同じ運命をたどる可能性は高い。

医学だけではない。

 

科学の歴史というのはこの繰り返しなのだから、医療者はこの事実と謙虚に向き合ってほしいと思う。

だからといって、私は医療の全てを否定するつもりなどない。

 

いつの時代でも、医療との距離の保ち方が重要なのだ。

極端に思えるダ・ヴィンチの発言にしても、医療との関わり方への戒めだろう。

医療を信頼することと、病院に通いつめることとは別のものなのである。


 現代は医療だけでなく衛生や栄養面においても、生活環境が飛躍的に改善している。

 

おかげで寿命が延びたのだから、健康な人も格段に増えているはずだ。

それなのに、自分の健康に不安を抱く人の数は減ったようには見えない。

 

むしろ増えている気すらする。


 彼らが最も恐れている病気はがんである。

がんは若くても発症するだけでなく、死ぬ確率も依然として高いからだ。

ところがほとんどの医師は、「がんは早期発見、早期治療をすれば治る病気になった」と公言してはばからない。

統計上でも、がん死は減ったといわれるが、私には医師が喧伝するほどの大きな変化は感じられない。

相変わらず、がんは日本人の死因の第一位であり、がんになる人が減っているわけでもない。

これは、景気が上向いていると政府が発表しても、庶民感覚では暮らし向きがよくなったように思えないのと似ているだろう。


 人生100年などといわれるようになって久しいが、運良く100歳まで生きられたとしても、みなが100まで健康でいられるわけではない。

単に、患う期間が長引いただけであることも少なくない。


それが怖くて病院で検査を繰り返し、目新しい健康法には見境なく飛びつく。


しかしどんなに健康法を並べても、どれだけ病院に通いつめても、不安は払拭できない。

介護を受けているようなかなりの高齢者でも、「将来」がんになったらどうしようといっておびえている。

 

せっかくの長寿を楽しむどころか、不安に駆られて迷走しているのである。


 ではどうしたら、彼らの不安を打ち消すことができるか。

それぞれ個人の事情もあるだろう。

 

だが、その根底には、自分の体の状態がわからないことへの不安があると思う。


 ほとんどの人は、自分の体でありながら、自分が健康か健康でないかがわからない。

体調が悪いとき、その原因が重大なものなのか、そうでないのかも判断できない。

そのために些細な症状に対しても、最大級の心配をしてしまう。

何も症状がなくても、ひょっとしたら何かあるかもしれないなどと考えて、いつもビクビクしている。

がんにだけはなりたくない。

 

それなのに、がんは、自分で気づいたときには手遅れだという話を聞けば、さらに不安になる。

そこで病院で頻繁に検査を受け、医師から「何もありませんよ」の一言を聞くためだけに奔走する。

 

そんな生活が生涯続くとしたら、果たしてこれが健康と呼べるだろうか。


 結論をいえば、この不安解消には、背骨のズレによる「アシンメトリ現象」の存在を知ることが、最も近道なのである。

「アシンメトリ現象」を理解していれば、何か症状があっても、それが単なる背骨のズレによるものか、何らかの重大疾患なのかが区別できる。

自分だけでなく他の人の体であっても、同じように判断できるようになるのだ。

 

 しかもその症状が、背骨のズレによるものだとわかれば、ズレた背骨を正しい位置に戻してやるだけでよい。

わざわざ病院に行かなくても、家庭でできることだ。

逆に、症状の原因が背骨のズレでなければ、そこで初めて医療に関わる段階になる。

もちろん、病院で検査したからといって、全ての症状が解決するわけではないし、原因がはっきりとしないことも多い。

だが仮に原因がわからなくても、ほとんどの症状は自然に消えていくものでもある。


 つまり、「アシンメトリ現象」という判断基準さえ手にすれば、体のことでよけいな心配をする必要がなくなる。

たとえ症状が激しくても、その原因が背骨のズレだとわかれば、心理的には落ち着いていられるのである。


 そもそも病気の心配ばかりしている状態は、健康的とはいえない。

健康であるかどうかは、本人の主観に大きく依存する。

本人が幸福だと思えば、それを他人が否定できるものではないのと同じだ。

だれしも老いとともに、あちこち不調は増えるものである。

 

それでも、自分の体の状態を把握することで不安から開放されれば、それは健康と呼んでよいはずだ。


 現代人は、あまりにも健康や寿命の長さに価値を置きすぎる。

健康は重大な要素ではあるが、健康が人生の目的になったり、健康に人生を振り回されたりしてはいけない。

「立派に費やされた一生は長い」と、ダ・ヴィンチもいった。

彼は67歳でこの世を去ったが、当時としては立派なものだ。

本人にとっては、未完成の作品や実現には至らなかった多くの構想を、この世に残していく悔しさはあったろう。

 

医学への貢献も含め、科学者としてのダ・ヴィンチの功績も、これまで正しく評価されてきたとはいえない。

だが、彼の生涯は「立派に費やされた」。

 

彼の遺したものは今もそしてこれからも、みごとな光彩を放ち続けることだろう。

(花山 水清)


■参考文献
★『 モナ・リザと数学 ― ダ・ヴィンチの芸術と科学 』ビューレント・アータレイ著 
★『 レオナルド・ダ・ヴィンチ 』セルジュ・ブランリ著

(花山水清メールマガジン 「月刊ハナヤマ通信」) 

 

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