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背骨がズレているのに、頭痛・腰痛などの痛みがないのは危ない

メールマガジン月刊ハナヤマ通信 370号 2017/08

 

 日ごろの会話で、何気なく発した言葉によって、相手の表情に一瞬のくもりを感じ取ることがある。

おぼろげながら、その表情の変化が後々まで心のどこかにひっかかり続ける。

そしてしばらく経ってから、「ああ、そうだったのか」とその時の相手の気持ちが理解できる。

そんなちょっとした経験の積み重ねが、その後の人付き合いにとって貴重な知恵となるのだ。

 

 これは人間関係だけの話ではない。

 

ふと気になった些細なできごとが、何かの理解を深めるきっかけになる。

 

そういう経験はだれにでもあるはずだ。

 

「アシンメトリ現象」の探究も、その連続なのである。

 例えば腰痛も、「モルフォセラピー」の施術者にとっては何ら目新しい現象ではない。

腰痛患者の背骨をなぞって、そこにズレがあることを確認できさえすれば、ほぼ腰痛の原因を見つけたことになる。

後はそのズレた骨を、正しい位置に戻すだけで全てが解決するからだ。

 

 ところがごくまれに、腰椎の一番大きなズレを解消しても、症状が全く変化しないことがある。

そこで、大した影響はないだろうと判断していた、小さいほうのズレを戻してみると、症状が消える。

 

痛みの原因は、大きいほうのズレではなかったのだ。

同じことが腰椎だけでなく他の背骨でも見られる。

 

 このように、ズレ幅が大きいにもかかわらず、自覚症状がないズレがあることは、それまでにも認識していた。

 

しかし痛みが出ていないのだから、その存在をあまり重視していなかった。

そもそも「モルフォセラピー」は、患者の負担を最小限に考える安全第一主義である。

従って、症状の原因となっているズレだけをピンポイントで解消することに専念し、症状を出していないズレに対しては、何もしないようにしていたのだ。

へたに手を出したがために、新たな症状を誘発して、収拾がつかなくなる事態は避けたい。

寝た子を起こすよりも、症状が出てから対処したほうが、患者にも負担が少なくて効率が良いはずだと考えていたのだ。

 


 ところが今は、背骨のズレを見つけたら、自覚症状の有無にかかわらず、ただちに矯正することを推奨している。

なぜなら、痛みなどの自覚症状がないタイプのズレが、がんなどの重大疾患に深く関与していることがわかったからである。

私の考えでは、がんは背骨のズレによって、機械的に刺激を受けた神経の支配領域に発症している。

しかもがんを発症させるタイプのズレは、極端にズレているのに全く痛みなどの自覚的な症状を出さないのが特徴だ。

そのような症状のない沈黙のズレは、今現在のがんの所在を示唆するか、もしくは将来的ながんの発症を暗示しているのである。

 


 それではがんを発症させるタイプの背骨のズレは、なぜ痛みを出さないのだろうか。

背骨がズレていれば、まちがいなく知覚神経を刺激するはずだ。

それなのに痛みがないのは、そこに何らかの強力な鎮痛作用が働いていることになる。

実は背骨のズレに対する、この鎮痛作用と共通のメカニズムが、がんそのものにも存在しているようなのだ。

がんというのは、ある程度の大きさになっても、痛みなどの自覚症状がない。

 

そのことががんの発見が遅れる理由でもある

 

 ではなぜ、がんは痛くないのだろうか。

例え1、2センチほどの初期のがんであろうと、必ずまわりの組織に炎症が広がっているはずだ。

 

それが周辺の知覚神経に、全く触れないなどということはありえない。

歯茎が少し腫れただけでも、頭まで痛くなるのはよくあることだ。

そう考えれば、がんにも鎮痛作用が働くメカニズムが存在していることがわかる。

それでは、背骨のズレとがんに働いている鎮痛作用とは、一体どのようなものなのだろうか。

 


 以前、「アシンメトリ現象」を「形態異常」と呼んでいた頃、この現象の原因物質としてアルカロイドや有機リン系殺虫剤、放射線などを候補にあげていた。

それらは発がん性を持つと同時に、鎮痛作用を持つことが知られているのだ。

だが諸条件を考慮すると、これらの原因物質による外因だけで、全ての背骨のズレやがんの鎮痛作用を説明するには無理があった。

そこで外因だけでなく、内因にも目を向けてみた。

 

すると新たに、内因性オピオイドの存在が、候補として浮上してきたのである。

内因性オピオイドとは、体内で産生されるモルヒネ様の物質で、一般的には脳内モルヒネと呼ばれている。

また内因性オピオイドには、鎮痛、免疫増強、がんの抑制などのさまざまな作用があるので、各方面から注目されている物質でもある。

 

 私は多くのがん患者の体に触れてきたが、彼らの知覚神経は異常に鈍くなっているのが特徴だった。

今思えばその鈍さは、内因性オピオイドによる鎮痛作用の結果だったのだ。

 

がんを発生させるほど背骨が大きくズレていれば、それに伴う痛みも激しくて当然だから、この鎮痛作用は、がんの激しい痛みを抑制するために、元々人間に備わっている自己防衛機能なのだろう。


このように考えていくと、痛みを出さないタイプのズレとがんとの関係も、すんなり理解できたのだ。

 

 近年、医療界とその周辺で、内因性オピオイドを利用した、がんの抑制が盛んに試みられている。

 

しかしそれだけでは、がんの根本原因まで解消することはできない。

現段階におけるがん抑制の最善の方法は、背骨のズレを見つけたら、症状の有無、ズレ幅の大小を問わず、速やかに全て矯正しておくことである。

 

 

 背骨がズレると、頭痛や腰痛だけでなくさまざまなつらい症状が出る。

しかしどんなにつらくても、痛みなどの症状が出ているうちはまだまだ怖くない。

 

本当に怖いのは、ズレているのに全く痛みを出さない「沈黙のズレ」なのである。

小言をいっているときの奥さんよりも、黙り込んでしまった奥さんほど怖いものはない。

何もいわないから問題がないのかと思って安心していたら、とんだ大まちがいだったという経験は、既婚男性なら思い当たる人が多いだろう。

同様に背骨のズレに関しても、「沈黙は怖いもの」であることを肝に銘じておきたい。

(花山 水清)

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