花山 水清
  • ホーム
  • プロフィール
  • 本
  • DVD
  • モルフォセラピー
  • アシンメトリ現象
  • 背骨のズレによる症状
  • ブログ
  • メールマガジン
  • お問い合わせ

人間に食物繊維は必要か?

メールマガジン月刊ハナヤマ通信 Vol.321 2013/07

 

 スーパーで買い物をしていると、他人の買い物カゴのなかが見えることがある。

 

若い女性のカゴには、必ずヨーグルトとレタスが入っている。

 

高齢女性のカゴには、意外にもステーキ肉が入っていることが多い。

 

一般的には、高齢者の好みは野菜や魚中心であっさりしているイメージが強いが、実際には、しっかりと肉を食べる高齢者が多いようだ。

 

 確かに、一昔前までの高齢者は肉を食べる機会が少なかったので、加齢とともに血管がもろくなって脳出血で亡くなる人が多かった。

 

それが今では脳梗塞が増えている。

 

 

 日本人が肉を食べ出したのは、ここ100年ほどのことである。

 

それ以前の日本には、仏教の影響もあって肉を食べる習慣はあまりなかった。

 

そのため日本人の食生活は、一汁一菜のような粗食が理想とされていた。

 

 今でも肉食よりも菜食のほうが、健康で理想的な食事だと思っている人が多い。

 

 私もそう思っていた時期がある。

 

しかも菜食主義のほうが、精神性が高いイメージすらあった。

 

しかし今では、肉食は最も効率よくタンパク質を摂取できる理想的な食餌であり、栄養素と精神性の問題は、切り離して考えるべきだと思うようになった。

 

 

 実際のところ、経済力が世界最高水準になった今でも、日本人の肉食率は欧米人に比べると格段に少ない。

 

それなのに、多くの日本人は、「健康のためには肉を減らして、もっと野菜を食べなければいけない」という強迫観念にとらわれているのだ。

 

 

 だが、そもそも人間は本当に野菜を摂らなければいけないのだろうか。

 

進化論では、ヒトはサルから進化したことになっている。

 

だから人間の本来の食性は、チンパンジーと同じ雑食性だといわれている。

 

そして当然のこととして、栄養学では肉、魚、野菜などをまんべんなく食べることが健康に良いとされる。

  

 

 ところが最近の研究では、チンパンジーは元々肉食の傾向が強いことがわかっている。

 

それなら人間も、本来は肉食が適切なのではないか。

 

実際、イヌイットやモンゴルの遊牧民は、少し前まで野菜など食べていなかった。

 

また人類が1万年ほど前に農耕を始めるまでは、当然、肉食が主体だったのである。

 

だから、人間は肉食動物か草食動物かと問われれば、多分、肉食動物に近いはずなのだ。

 

 

 肉食動物か草食動物かの違いは、食物繊維を体内で消化し、栄養素を吸収できるかどうかによる。

 

これがいちばんのポイントだ。

 

人間は食物繊維を消化するための酵素を持っていないので、草食動物だとは考えられない。

 

いくら食物繊維を摂っても栄養にならないばかりか、食物繊維は人間の体内では栄養素の吸収を阻害したり、遅らせたりもする。

 

われわれは、牛や馬のように草だけ食べて、あんな立派な体を作ることはできないのである。

 

 

 食の本来の目的は、食べ物から栄養素を体内に取り込んで、体を構成したり、活動のエネルギーを得ることにある。

 

すると、人間には食物繊維を摂る必然性が見当たらない。

 

では何のために食物繊維を摂るのか。

 

栄養学上は、腸の働きを整え、有害物質の排泄をスムーズにするため、つまり便通を良くするために必要なのだと説明されている。

 

食物繊維を摂ることで大腸ガンの予防になるという説もあったが、科学的に実証されたわけではなかった。

 

野菜をたくさん食べるとガンにならないと信じ込んでいる人もいるが、こちらも実証はないのである。

 

なかには、ガンになった途端に肉を絶って玄米菜食に切り替える人もいるが、それではどうしてもタンパク質が不足する。

 

人間の体には圧倒的にタンパク質が必要だ。

 

しかもガン患者がタンパク質を減らすのは、自殺行為であることだけは肝に銘じておきたい。

 

 いずれにせよ、食物繊維を摂ることは食の本来の目的には適っていない。

 

私たちは子供の頃から、何でもバランスよく食べるのが良いといわれて育ったが、日本人は野菜に偏り過ぎているのである。

 

食物繊維を大量に摂るせいで、他民族に比べて日本人の便の量が多いのは有名な話だし、われわれの胴が長いのもそのせいだといわれては笑えない。

 

 

 人間には、生命維持のために食欲という本能が備わっている。

 

食欲とは、間脳の働きによる栄養欲求である。

 

しかし今の日本人の食の欲求は生命維持どころか、飽食グルメとダイエットが同居して、本能とはかけ離れたものになっている。

 

マスメディアからの情報に支配された結果、食欲の主導権の座は間脳から大脳へとシフトしてしまったのか。

 

大脳というのは、与えられた情報によっていくらでもだまされる。

 

前回お伝えした原発の安全神話への反応と同じで、真実とは逆のことでも信じ込んでしまうのである。

 

 

 今も昔も、食の選択は限りなく信仰の領域に位置している。

 

どの宗教にも必ず食のタブーが存在するのは、信者の食を支配することで、信仰を深めさせるためである。

 

すると現代の日本人はマスメディアの信者だろうか。

 

だがこの神様を信仰しても、それで得をするのが信者でないことは明白だ。

 

 

せめて食ぐらいは、正しい情報に基づいて賢明な選択ができるようになりたいものである。  

(花山 水清)

←次の号                        

  • 409号 2020/11
  • 408号 2020/10
  • 407号 2020/09
  • 406号 2020/08
  • 405号 2020/07
  • 404号 2020/06
  • 403号 2020/05
  • 402号 2020/04
  • 401号 2020/03
  • 400号 2020/02
  • 399号 2020/01
  • 398号 2019/12
  • 397号 2019/11
  • 396号 2019/10
  • 395号 2019/09
  • 394号 2019/08
  • 393号 2019/07
  • 392号 2019/06
  • 391号 2019/05
  • 390号 2019/04
  • 389号 2019/03
  • 388号 2019/02
  • 387号 2019/01
  • 386号 2018/12
  • 385号 2018/11
  • 384号 2018/10
  • 383号 2018/09
  • 382号 2018/08
  • 381号 2018/07
  • 380号 2018/06
  • 379号 2018/05
  • 378号 2018/04
  • 377号 2018/03
  • 376号 2018/02
  • 375号 2018/01
  • 374号 2017/12
  • 373号 2017/11
  • 372号 2017/10
  • 371号 2017/09
  • 370号 2017/08
  • 369号 2017/07
  • 368号 2017/06
  • 367号 2017/05
  • 366号 2017/04
  • 365号 2017/03
  • 364号 2017/02
  • 363号 2017/01
  • 362号 2016/12
  • 361号 2016/11
  • 360号 2016/10
  • 359号 2016/09
  • 357号 2016/07
  • 356号 2016/06
  • 355号 2016/05
  • 354号 2016/04
  • 353号 2016/03
  • 352号 2016/02
  • 351号 2016/01
  • 350号 2015/12
  • 349号 2015/11
  • 348号 2015/10
  • 347号 2015/09
  • 346号 2015/08
  • 345号 2015/07
  • 344号 2015/06
  • 343号 2015/05
  • 342号 2015/04
  • 341号 2015/03
  • 340号 2015/02
  • 339号 2015/01
  • 338号 2014/12
  • 328号 2014/02
  • 327号 2014/01
  • 326号 2013/12
  • 325号 2013/11
  • 324号 2013/10
  • 323号 2013/09
  • 322号 2013/08
  • 321号 2013/07
  • 320号 2013/06

・ホーム

・プロフィール

・ブログ

・本

・DVD

・アシンメトリ現象

・背骨のズレによる症状

・メールマガジン

・お問い合わせ

 

サイトマップ
(C)Hanayamasuisei.co.ltd. All Rights reserved. 文章・画像の無断転載はご遠慮ください
ログアウト | 編集
  • ホーム
  • プロフィール
  • 本
  • DVD
  • モルフォセラピー
  • アシンメトリ現象
  • 背骨のズレによる症状
  • ブログ
  • メールマガジン
    • 409号 2020/11
    • 408号 2020/10
    • 407号 2020/09
    • 406号 2020/08
    • 405号 2020/07
    • 404号 2020/06
    • 403号 2020/05
    • 402号 2020/04
    • 401号 2020/03
    • 400号 2020/02
    • 399号 2020/01
    • 398号 2019/12
    • 397号 2019/11
    • 396号 2019/10
    • 395号 2019/09
    • 394号 2019/08
    • 393号 2019/07
    • 392号 2019/06
    • 391号 2019/05
    • 390号 2019/04
    • 389号 2019/03
    • 388号 2019/02
    • 387号 2019/01
    • 386号 2018/12
    • 385号 2018/11
    • 384号 2018/10
    • 383号 2018/09
    • 382号 2018/08
    • 381号 2018/07
    • 380号 2018/06
    • 379号 2018/05
    • 378号 2018/04
    • 377号 2018/03
    • 376号 2018/02
    • 375号 2018/01
    • 374号 2017/12
    • 373号 2017/11
    • 372号 2017/10
    • 371号 2017/09
    • 370号 2017/08
    • 369号 2017/07
    • 368号 2017/06
    • 367号 2017/05
    • 366号 2017/04
    • 365号 2017/03
    • 364号 2017/02
    • 363号 2017/01
    • 362号 2016/12
    • 361号 2016/11
    • 360号 2016/10
    • 359号 2016/09
    • 357号 2016/07
    • 356号 2016/06
    • 355号 2016/05
    • 354号 2016/04
    • 353号 2016/03
    • 352号 2016/02
    • 351号 2016/01
    • 350号 2015/12
    • 349号 2015/11
    • 348号 2015/10
    • 347号 2015/09
    • 346号 2015/08
    • 345号 2015/07
    • 344号 2015/06
    • 343号 2015/05
    • 342号 2015/04
    • 341号 2015/03
    • 340号 2015/02
    • 339号 2015/01
    • 338号 2014/12
    • 328号 2014/02
    • 327号 2014/01
    • 326号 2013/12
    • 325号 2013/11
    • 324号 2013/10
    • 323号 2013/09
    • 322号 2013/08
    • 321号 2013/07
    • 320号 2013/06
  • お問い合わせ
  • トップへ戻る